恋の邪魔者(Viens chez moi, j'Habite chez une copine)

『恋の邪魔者』(Viens chez moi, j'Habite chez une copine)
というパトリス・ルコント監督の1980年のフランス映画を観た。

 この映画は自分にとってパトリス・ルコントの2作品目に観た映画である。(ちなみに初めて観た作品は「ぼくの大切なともだち」です)
 フランス映画好きの知り合いに勧められて観たのだが、なかなか面白かった。その人と話すまでパトリス・ルコントの存在は知らなかったのだが、フランス人の知り合い曰く、パトリス・ルコントはフランスでは国民的映画監督なのだとか.....日本ではそこまで知名度高くないと思うんだけどね。そのフランス人にその事(知名度があまり高くない事)を言ったら「嘆かわしい!!」みたいの反応をしていた。この話がどこまで信頼出来るかわからないが、そのフランス人はよく「恋の邪魔者」の劇中歌を口ずさんでいるらしく、個人的にパトリス・ルコントが好きみたい。

 この映画はあまり有名ではない。色々理由はあると思うが、その内の1つにVHSしか日本では出回ってない事が挙げられると思う。やっぱりDVD化されない映画は時代とともに風化されてしまう運命なのだろうか。それならば早くエミール・クストリッツァ監督の「アンダーグラウンド」をDVDなりBlu-rayなりで発売して欲しい!絶対に買う!!
 知名度が低いのになんだかどこかで聞いた事のありそうなタイトルのため「恋の邪魔者」というキーワードでネット検索すると必ず違う作品がヒットしてしまう。この現象をなんとかして欲しい。
 脱線してしまったがここから作品について書こうと思います。

監督 パトリス・ルコント
出演 ミシェル・ブラン、ベルナール・ジロドー、テレーズ・リオタール、etc...
原作 ルイシュ・レゴ、ディディエ・カミンカ
脚色 パトリス・ルコント、ミシェル・ブラン
製作 クリスチャン・フェシュネール
製作国 フランス
公開年 1980年


 恋人同士のダニエル(ベルナール・ジロドー)とフランソワーズ(テレーズ・リオタール)は同居生活を幸せに過ごしていた。ある日、ダニエルの友人で女にだらしなくいい加減な人間のギイ(ミシェル・ブラン)が仕事でヘマをしてクビになり、更には下宿まで追い出されてしまう。それを見かねた2人はギイを家に居候させるが、そんな厚意を無にするかのようにギイは手当り次第に女性に声をかけ連日違う女性を家に連れ込んでくる。
 そんな「邪魔者」に2人の生活は少しずつ乱されダニエルとフランソワーズの関係は危うくなっていく.......


 フランス映画にしては明るい作品だったし、面白かった。「ぼくの大切なともだち」にも言えるが登場人物のキャラクターがはっきりしていて良いと思う。もっと色々な人に観てもらった方が良い作品だと率直に感じた。
 ギイ役のミシェル・ブランは外見が日曜大工センターのおじさんみたいで、やっている事はずるいしだらしがないがどこか悪気はなさそうに見え(多分少しそう見えるだけ)突き放しきれない。でもこういう自己中心的な人物が出てくる映画に良くありがちなのが「悪い事をやっている本人はあまり罪悪感を感じていない」、更にその悪さの度合いが被害を受けている人では止められないようなものである事が多い。こういった状況を見ると自分は面白いを行き過ぎて少し被害者に感情移入してしまい胸がなんだか苦しくなる。
 ダニエル役のベルナール・ジロドーの外見はたくましい男で服装はなんだかダスティン・ホフマンがよく映画で着てそうな服だった。キャラクターとしてはギイの厚かましさを嫌がっているがかなりのお人好し。恋人の事を愛しているが数々の女性をギイが家に連れてくるからつい魔が差したように浮気に走ろうとする、なんとなくわかる気がする。
 フランソワーズ役のテレーズ・リオタールはすごく美人だった。しかも設定ではマクドナルドで働いているみたい。
 作品を通すとギイは「恋の邪魔者」なのかも知れないが、一番はしっくりくるのは「ただの邪魔者」か「生活の邪魔者」な気がします。恋を邪魔するというよりは日常生活を過ごす上でかなりの障害となっていましたね。
 あとは最初のシーンと最後のシーンで仕事をクビになった言い方が一緒(あるいは似たような言い回し)だったのが良かったです。言ってる人は違うのにね。
 他にも気になるシーンや台詞などはありましたが今回はこのくらいで終わりにしようと思います。ちなみに台詞は主演、脚色も務めたミシェル・ブランが担当したそうな。


 劇中でギイの様子を歌ったような歌の歌詞の一部です。この歌は個人的に結構気に入りました。

    泣いてる娘は 俺の所へおいで
    顔はマズいが 心は優しいよ
    女なら誰でも 大歓迎さ
    俺は手が早い ナンパが仕事
    女にすぐ声かける ''やあ 元気?''
    ''家に来ない? 居候だけど''
    俺こんなことしてていいのかな?

最後にギイの台詞で終わろうと思います。
「どうせ俺は邪魔者だよ。」

ギイ、わかってんじゃん。では、また今度。